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萌えとか語りとか
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一日一話目標、と言いつつすでに時間ギリギリになっている二日目です(ダメじゃん)

二日目はコンラッド側に場面が移りまして、
2.募る想いにひそむ影

こう、ぐるぐるしているコンラッドは楽しいです(鬼)
「つづきはこちら」からどうぞv

2 募る想いにひそむ影


他国の王宮の廊下から見上げた月はとても美しく、そして残酷だ。
俺を叱って叩いた左頬。事故のような求婚はこんな月の下で贈られた。
何も知らない彼女に付け込んで、婚約者だと名乗ったのは、遠い昔のことではない。
見上げた月はあの頃と変わらないのに、あれから随分と遠くへ離れてしまった。
時間も距離も想いも。
苦しめて、悲しませた。
守るという約束も、傍に居るという約束も反古した男に、それでもあの綺麗な魂の持ち主は、無事を祈ると、そう残して去った。
首都の一角に与えられた邸へ戻るつもりだったのに、方向を変えて階段を登る。
ゆっくりと、彼女の軌跡を、辿るように。
目を閉じると、赤いドレスを翻して走り去った背中が瞼の裏に容易に甦る。
階段を上がり、角を曲がってすぐの資料室の壊れたドアは、もうすっかり修復されていた。
あのままにしておいてくれたらよかったのに、と愚かな望みを覚えて苦笑が漏れる。
扉についた手に額を当てて、目を閉じた。
ここで振り返った彼女の最後の言葉を、呟くように口にする。
「……どうか、お元気で」
まるでもう二度と逢わないような呟きで、だがきっと、本当の願いは。


配布元:TV
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